バケーション

燃え上がる8月。

東京国際学園も夏休み真っただ中である。
さまざまな生徒たちの姿を想像する。

参考書を見つめる。
ひまわりを見つめる。
ゴールを見つめる。
人を見つめる。
未来を見つめる。
真実を見つめる。


こんなときはこんな詩に触れるのもいい：

巨人になりたい　この山々を　この青空を　この夏の朝を　両腕に抱きとりたい
巨人になりたい　山の彼方の幸せを　指でつまんで　ポケットに入れ　夜へとむかう

すべての憧れを　小鳥のように　つかまえてしまう　巨人になりたい　
一日に一度打つ心臓　永遠をみつめる瞳　太陽に火傷（やけど）する指先　
日記には歴史をしるし　革命の悲惨を　裏切りの栄光を　残らず両手にすくいとる
巨人になりたい　
暗黒の宇宙に身を投げ　銀河の流れに泳ぎ　両腕に地球を抱きしめ　
黙って涙をこぼしている　限りなく無力な　巨人になりたい

そうでなければ　一匹の蟻になりたい　露草の迷路に果てなく迷い　いつまでも迷い続け
それでいい　この美しい夏の朝に

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「美しい夏の朝に」　　谷川俊太郎


一瞬、真夏の夢に入り込む。



文・トモアキ