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一世紀 [その他]

みなさん こんにちは!
トモアキの新緑エッセイです。

“一世紀”

風薫る5月。

1912年(明治45年)5月、与謝野晶子はシベリア鉄道に乗った。
フランスに留学した夫の鉄幹に会うため、7人の子どもを日本に残し、
ひとりぼっちで2週間かけ、大陸を横断した。

その時の思いを、晶子は「よみうり婦人付録」で詩にしている。

『5月は好(よ)い月、花の月、芽の月、香(か)の月、色の月』

『わたしのことを云うならばシベリアに行き、独逸(ドイツ)行き、
 君を慕うてはるばると その巴里(パリー)まで着いた月、
 菖蒲(あやめ)の太刀と幟(のぼり)とで、去年うまれた4男目の
 アウギストをば祝う月』

アウギストとは、パリ行きの後に生まれたアウギュスト(昱・いく)のこと。
恋に、子育てに充実した女の人生を誇らしげに歌い上げている。

約一世紀後のこの5月、新型インフルエンザが世界中をかけめぐっている。

与謝野晶子はこの5月の中にいたら、どんなメッセージを発するのだろう。

『どんな環境にも負けてはいけません。強く生きるのです。』
そう私には聞こえるのである。

5月21日は二十四節気の小満(しょうまん)である。
草木が茂り、天地に満ち始める。

目の前の草木は何も言わず、さまざまなことを教えてくれる。
限りある命。役割の大切さ。美しさの本当の意味・・・。

与謝野晶子がいた5月。約一世紀後のこの5月。
追憶にふける今日この頃である。

雨が降り、新緑をさらに鮮やかにしてくれる。
その後は、洗いたての太陽がわたしたちを優しく照らしてくれるのである。

一世紀の時の流れがいとおしくなった。

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